勉強の効率を上げたいという方へ。
この記事では、僕が本を読んで学んだ「科学的根拠のある勉強方法」をまとめました。
ネット上にはいろいろな勉強方法についての情報があります。しかし、中には「精神論」だったり、「具体的に実践できる方法」が書いてないものが多いと感じています。
僕自身、受験期にそういった情報にとても惑わされた経験があります。しかし、大学に入って、勉強法を学習してからは、驚くほど勉強の効率が上がりました。
具体的には、1日2時間を1ヶ月勉強しただけで、TOEIC(英語の試験)の点数を650点から840点まで伸ばすことができました。
ここまで短い期間・勉強時間で点数を伸ばせた人はネット上を探しても、見た感じ誰もいませんでした。
なので、その経験を踏まえて、効率の良い勉強方法を、誰でも実践できるように具体的に解説していきますので、ぜひ参考になればうれしいです。
科学的に効率の良い勉強法は2つ
科学的実証された勉強法は多くありますが、それらは以下の2つに分けることができます。
- 想起 (思い出すこと)
- 最言語化(自分の言葉に置き換えること)
人間の脳は、何かについて思い出したときに記憶が定着されます。なので、思い出すという想起のテクニックは「記憶するときに重要」になります。
また、最言語化のテクニックは「何かを理解するときに重要」になります。難しい数学の概念や英語の完了形など、簡単に理解できないものを理解したいときに必要になります。
では、これから具体的に、想起と最言語化のテクニックを見ていきましょう。
ここからは、僕自身が実行してわかった「実行可能」で「効果が高かった順」に書いていくので、ぜひ参考にしながら見てみてください。
1、想起(思い出すこと)
1、テスト
テストは、幅広い世代や分野で記憶力がアップするという、科学的根拠が十分に示されてきた勉強法です。
たとえば、過去の研究によれば、単なるテキストの再読と比べて、およそ50〜70%も記憶の定着率が上がることがわかっています。(「超集中力」より)
テストといっても、学校のテストのようにたまに行うものではなく、できるだけ細かく頻繁に行うことが推奨されています。
その細かくテストを行うときに役立つテクニックとして、「クイズ化」というものがあります。
クイズ化
クイズ化とは、覚えたい情報をクイズにして、自分の記憶度をチェックして見る方法です。
たとえば、本を読むときのクイズ化する方法は以下の通り。
1、テキストを1ページ読んだら、いったん本を閉じる
2、今読んだばかりのページに何が書いてあったか思い出す
1ページごとのクイズ化だと時間がかかるという場合は、「1章読むごとに思い出す」などのアレンジを加えるのもおすすめです。
基本的に「想起」の回数が多いほど記憶に残りやすいので、こまめなクイズ化は記憶の定着に大きな効果を発揮します。
2、分散学習
分散学習とは、「復習の間隔を少しずつ伸ばすテクニック」のことです。
科学の世界ではテストと並ぶ強力な手法と言われ、その効果を確かめたデータは数知れません。
どれくらいの間隔で復習すれば良いのかのスケジュールとして、研究者のウォズニアックが考え出したものが以下になります。
1回目の復習は1〜2日後に行う
2回目の復習は7日後に行う
3回目の復習は16日後に行う
4回目の復習は35日後に行う
5回目の復習は62日後に行う
この分散学習は、「エビングハウスの忘却曲線」と共にセットで出てくることが多い有名な方法で、みなさん一度は耳にしたことがあると思います。
ただ、実際にこの方法を実践するのはとても難しいです。
単に復習の数を増やそうと思うと、学習量が2倍、3倍、4倍…と増えていってしまうので、実践的ではありません。
なので、分散学習を、さらに簡単にした実用的な方法を提案したいと思います。
1、その日解いた問題で、間違えたところを「まとめノート」にクイズ化する。
2、前日に作った「まとめノート」のクイズを解き、間違えた問題に印をつける。
2、1週間に1度(日曜日など)、「まとめノート」の前回間違えたクイズを解き、さらに間違ったところに印をつける。
3、月の終わりに「まとめノート」の、2回間違えた問題だけクイズを解く。
厳密に分散学習を実行するよりは効率が落ちてしまうと思いますが、科学的に最強クラスの勉強法である分散学習をやらないよりは全然効果があります。
僕自身、実際にこの方法を試してみました。
(TOEIC勉強のまとめノート)
そして、いくつか気がついたことがあります。
それは、「間違えた問題は何度復習しても間違える」ということです。
一応このまとめノートを作る前にも、間違えた問題は、なぜ間違えたのか考えてノートに分析したものを書いたりしていたんです。
でも、1度勉強したからOKと思っていても、実際問題を解き直してみると、何回やっても解けないことが多かったです。3回目でやっと思い出せるようになるといった感じです。
このことで、分散学習をしないことの危険性が身にしみてわかりました。
今まで僕は、参考書を1周したら2周目をするという方法でやっていました。
しかし、「これまでの勉強法を続けても一生勉強できるようにはならない」と感じました。なぜなら何回やっても結局同じ問題を間違えてしまうからです。
「まとめノートを作るのは時間がかかるし、めんどうくさい」と思われる方もいるかもしれません。ただ、僕自身はこの方法を使うか使わないかで、勉強の効率に天と地ほどの差がつくことを感じました。
僕が紹介した方法でなくてもいいので、ぜひ日々の勉強に「分散学習」を取り入れることを試してみてください。
3、インターリービング
インターリービングとは、いろいろな題材を混ぜ合わせて順番に学んでいく方法のことです。
たとえば、英語を勉強するのであれば、「リスニング」→「文法問題」→「単語暗記」→「長文読解」のように順番に勉強するといった感じです。
近年の研究では、1つの技能をマスターするまで同じ練習を繰り返すより、1つのセッションで複数の内容を学んだほうが上達しやすいことがわかってきました。
2015年に南フロリダ大学が行った実験では、学生に2つの勉強法を指示しています。
1、1つの方程式の使い方をマスターしたら次に進む(ブロック学習)
2、1回の授業でさまざまな方程式の使い方を学ぶ (インターリービング)
すると、翌日のテストではインターリービングを使ったグループのほうが25%も成績が良かった上に、1ヶ月後の追試では、両グループの得点差は倍近くに開いていました。インターリービングの圧勝と言える結果です。
効果的にインターリービングを行う際の注意点3つ
効果的にインターリービングを行うには、3つのポイントを抑えておく必要があります。
1、インターリービングで学習効果が上がるのは、同じ科目や似たジャンルを同時に学ぶ場合のみ。
インターリービングに効果があるのは、両者の違いや類似点などが頭の中でスッキリ整理されるからと考えられています。
2、まだ慣れていないジャンルのインターリービングはかえって逆効果になる。
たとえば、足し算と引き算をそれぞれをある程度マスターする前にインターリービングしても、かえって混乱してしまいます。
3、ジャンルの数は3つまで。
慣れたらジャンルの種類を増やしてもいいですが、いきなり大量にやると、脳の処理能力を超えてしまう可能性があるからです。
2、最言語化(自分の言葉に置き換えること)
1、チャンク化
チャンク化とは、バラバラの情報を何らかの法則にまとめることで、記憶に残りやすく・理解しやすくする方法です。
たとえば、電話番号を覚える場面を考えてみましょう。
「090〇〇〇〇△△△△」というランダムな番号を記憶するのはなかなか難しい作業ですが、「090- 〇〇〇〇- △△△△」とハイフンを挟むと急に覚えやすくなります。
最初はバラバラにしか見えなかった数字が、ハイフンで分類され、それら3つの要素を1つのかたまり(チャンク)として覚えることで、脳への負担が減るからです。
チャンク化は、記憶しやすくする方法として使われますが、理解しやすくする方法にも使えます。
「超効率勉強法」ではチャンク化は「想起」のジャンルに入っていたのですが、僕はチャンク化を「最言語化」の方に分類しました。
なぜなら、チャンク化をする際に自分の言葉でグループ化するので、物事への理解が深まるからです。そして、その効果のほうが、記憶しやすくすることよりも重要だと感じたからです。
チャンク化をすることによって2つのことが理解できます。
1、全体と比較することで、自分が今何を学んでいるのかはっきりとわかる。
2、類似の問題との違いを比較することで、自分が今学んでいることの意味が理解できる。
たとえば、高校数学で数列の勉強をしているときにはこう考えられます。
「今やっている問題は、数2Bの数列という範囲で、等差数列の漸化式を解いている。中でもこの問題は、an+1=p*an+q型の漸化式だから特性方程式を使って解く」と理解できます。
図にするとこういう感じです。
数2B
ーー ベクトル
ーー 統計
ーー 数列
ーーーー 等差数列の漸化式の解き方
ーーーー 等比数列の漸化式の解き方
ーーーー 階差数列の漸化式の解き方
ーーーー an+1=p*an+q型の解き方 ← 今ココ!!!
ーーーーーー 特性方程式を使って解く
僕は、受験生時代に数学が苦手だったんですが、それは、学んだ内容がチャンク化できてなかったからだと思います。
なので、問題を見たときに、この問題をどうやって解くのかが、勉強した内容とつながずに思いつかないということがありました。
勉強ができる人は、「この問題はこうやって解く」というのが頭に入っていると思いますが、それをするには、このチャンク化が必要です。
2、メタ認知リーディング
メタ認知リーディングは、メタ認知を働かせながら学習する方法です。
メタ認知とは「思考についての思考」のことで、自分の考えや判断を客観的に判断するときに使う能力です。
メタ認知は学習においてとても重要です。
なぜなら、学習には様々な要因が関与していますが、学習者の「知性や才能」は10%が関与しているのに対し、「メタ認知能力」は17%も関与しているといわれているからです。
つまり、メタ認知能力は、知性や才能の「約2倍」も学習効果を左右するのです。
メタ認知リーディングは、以下の4ステップで行います。
1、プレリーディング
理解したい参考書、本を選んだらまずは内容の下調べをします。
目次、見出し、イラスト、グラフなどをチェックし、「どのようなことが書かれているのか」をざっくりと確認します。
そして、自分が知っていること、知らないことを確認します。前もって知っていること知らないことを認識することでメタ認知効果が発揮できます。
2、速読
内容の基礎を掴むのが目標なので、さらっと最後まで読み通してください。読むときには、以下のポイントを意識してみてください。
- 重要そうなところにチェックを入れる
- チェックを入れたところは、なぜ重要だと感じたかメモをしておく。
- 知らない単語があったら意味を書き込む。
- 理解できなかった箇所にもチェックを入れる。
3、再読
「自分は何がわからないのか」を明確にするために再読します。
速読のステップで理解できなかった箇所を再チェックしながら、「この文章のどこが理解できないのか?」と自分に質問します。
4、再再読
最後に本の内容をもう一度チェックします。「自分の言葉で友人に本の結論を説明できる」レベルを目指します。
テキストの重要なポイントをチャートや図解にまとめてみたり、本の内容を友達に話せるように、その内容をノートに書き出します。
以上がメタ認知リーディングのやり方です。
ただ、全部やろうと思うと難しいと思うので、僕自身が実践している簡単な方法を提案したいと思います。
1、目次を読む
2、大事なところに付箋、マーカーをしながら読み通す。
3、大事だと思った点をパソコンでメモにまとめる。
僕は今年に入ってから、20冊以上本を読んだのですが、その全ての本に対して、この方法を行っています。
この方法を使い始めてから、本をただ読むだけで終わらずに、理解できるようになりました。それにより、本の内容を実際に実行できるようになりました。
ただ本を読むのと、実際に身につけるのは別なので、ぜひ試してみてください。
3、教えるつもり勉強法
教えるつもり勉強法は、自分が勉強した内容を他人に説明してみる手法です。
効果の高さにおいては心理学の世界でも一定の評価があり、複数の実験で学力向上のメリットが確認されてきました。
「教える相手がいない」という方も安心してください。本当に他人に説明しなくても「教えるつもり」で勉強しただけでも効果は得られます。
2014年の実験で、ワシントン大学が学生たちを2つのグループに分けました。
1、「この後にテストがある」と思いながら勉強する。
2、「この後で他の学生に教えなければならない」と思い込みながら勉強する。
その後で両グループにテストを受けさせたところ、「他の学生に教えなければ」と思いながら勉強したグループは、内容を正確に思い出す確率が28%も高く、とくに重要な情報ほど記憶に残っていました。
この手法は、予習でも復習でもどんな場面でも使えるので、どんな場面でも、「この方法を友達に教えるには?」と考えながら勉強してみてください。
その他の勉強法
マルチモーダル学習
マルチモーダル学習とは、視覚だけでなく、聴覚や運動感覚などをフルに使ったほうが脳への定着が進むという現象を使った学習法です。
文章で読んだり、動画で見たり、音声で聞いたり、いろいろなメディアで学習することで、様々な感覚を刺激しながら勉強しましょう。
勉強法について学べる本
勉強法に関する本を4冊ほど読んで使えそうなテクニックはこの記事にまとめました。
しかし、この記事を読んで勉強法について興味を持った人向けに、僕が読んだ本をまとめた記事を書きました。
実際に本から勉強法について学びたい方は、参考にしてみてください。
(執筆中)
まとめ
今回は、効率的な勉強方法について書いていきました。
もう一度内容を復習すると、
再起(思い出すこと)は、「テスト」、「分散学習」、「インターリービング」です。
最言語化(自分の言葉にすること)は、「チャンク化」、「メタ認知リーディング」、「教えるつもり勉強法」です。
これらの方法を意識しながら日々の勉強をしてみてください。
ただ、勉強はテクニックが全てではないので、根本的に勉強の質を上げる方法について知りたい方は。こちらの記事からどうぞ。
(執筆中)
みなさんの挑戦がうまくいくことを願っています。